「関節の動きがどんどん固くなってきている」 「呼吸が浅く、夜間の体位変換もつらい」 「リハビリに加えて、少しでも症状の進行を遅らせたい」
筋ジストロフィーを抱えるご本人やご家族から、こうした声を多くいただきます。
鍼灸は、筋ジストロフィーのような進行性の筋疾患に対して、進行の抑制や生活の質（QOL）維持を目的とした在宅ケアとして注目されています。
このページでは、訪問鍼灸の視点から、どのようなサポートが可能かをご紹介します。
筋ジストロフィーとは
筋ジストロフィーは、主に遺伝子の異常によって筋肉細胞が正常に機能できなくなり、徐々に筋肉が壊されていく進行性の筋疾患です。
日本では指定難病にも分類されており、早期発症から徐々に全身の筋肉が影響を受けるケースが多く、特に運動機能や呼吸機能、心臓機能に関わる障害が深刻化しやすいとされています。
代表的なタイプには、乳幼児期に発症し急速に進行するデュシェンヌ型筋ジストロフィー（DMD）、進行がやや緩やかなベッカー型（BMD）、脳の発達にも影響がある福山型先天性筋ジストロフィーなどがあります。
症状としては、筋力の低下に伴う転倒や歩行困難から始まり、進行すると関節の拘縮、脊柱側弯、呼吸補助の必要性、さらには心筋症など多臓器への影響が現れます。
また、発語・嚥下機能・消化機能にも障害をきたすことがあり、医療的ケアと生活支援が一体となったアプローチが求められます。
進行段階に応じて、歩行補助具や車椅子、呼吸器（NPPV・TPPV）の導入、栄養サポート、在宅療養支援などが必要となるため、主治医・リハビリ職・訪問看護・訪問鍼灸など多職種の密な連携が非常に重要です。
鍼灸でできるサポートとは？
拘縮の予防・緩和
- 筋ジストロフィーでは筋緊張の不均衡から関節の拘縮が進みやすくなります。
- 鍼灸により、筋肉の柔軟性を保ち、関節可動域を維持することで、 座位・寝返り・移乗のしやすさを保つサポートが可能です。
- 定期的な鍼灸で、リハビリ前後の可動性が改善する例もあります。
呼吸の補助・深さの確保
- 呼吸筋（横隔膜・肋間筋など）の機能低下により、浅い呼吸になりがちです。
- 鍼灸で胸郭周囲の筋緊張を調整することで、呼吸の深さや自然な換気のしやすさをサポートできます。
- 呼吸苦や息切れを訴える方に対して、お灸や接触鍼による胸部アプローチが有効です。
自律神経・全身調整
- 筋疾患では睡眠障害・胃腸トラブル・疲労感などの二次症状も多く見られます。
- 鍼灸は自律神経を整える作用があり、 夜間の入眠や便通、全身のリズム調整に役立つケースもあります。
ご自宅でできる「訪問鍼灸」の強み
ご本人のペースで安心して受けられる
訪問鍼灸では、ご自宅のベッドや車椅子上など、その方の身体状況に合わせた施術を提供します。
在宅人工呼吸器（NPPV・TPPV）を使用されている方や、移動が難しい方でも、安心して治療を受けられる環境を整えることができます。
ご本人が最もリラックスできる空間で行うことで、精神的負担も軽減され、施術効果が安定しやすくなる利点があります。
一対一で丁寧に向き合う時間
訪問鍼灸では、ご本人一人ひとりの状態にじっくり向き合い、 病状や生活のリズムに合わせた細やかな施術を行います。
病院や通所施設のような時間制限や集団対応とは異なり、 完全にプライベートな空間と時間での施術が可能です。
身体のわずかな反応を見逃さず、丁寧な声かけや触れ方を重視することで、 精神的な安心感にもつながります。
日々の不調や変化にも気づきやすく、その場で即座に対応ができる柔軟性も訪問施術の魅力です。
家族の介護負担軽減にも
筋ジストロフィーのような進行性疾患では、介護者の負担も年々増していきます。
鍼灸で筋緊張や拘縮を緩和することで、移乗・体位変換・排泄介助などの肉体的負担が軽減されます。
また、施術を受けた当日は睡眠の質が向上し、ご本人が夜ぐっすり眠れるようになることで、夜間の介護が楽になったというお声も多数いただいています。
訪問鍼灸は、単なる治療ではなく、ご本人とご家族全体を支える生活支援の一環として機能しています。
訪問鍼灸十番堂の取り組み
- 筋疾患に精通した国家資格者が訪問対応
- 医療職（主治医・PT・STなど）との連携を重視
- 港区・渋谷区・目黒区など対応エリア内で柔軟に訪問
- 記録共有・レポート提出などにも対応
まとめ｜QOLを支える選択肢としての鍼灸
筋ジストロフィーは、治癒が難しい疾患ではありますが、今ある機能を守り、できることを少しでも長く保つことがとても大切です。
鍼灸はそのための“やさしい選択肢”のひとつです。
無理のない範囲で、身体と心のケアを同時に行う方法として、 訪問鍼灸を取り入れてみませんか？
港区・都内で在宅鍼灸をお探しの方は、 ぜひ一度、訪問鍼灸十番堂までご相談ください。