「うまく飲み込めない」「むせる」「食事に時間がかかる」 こうした嚥下障害は、加齢や神経疾患の影響で多くの方にみられる症状です。
特に、脳卒中後遺症やパーキンソン病、神経難病、長期臥床の方では、 飲み込みに関わる筋肉や神経の働きが弱まり、誤嚥性肺炎や栄養不良のリスクが高くなります。
この記事では、嚥下障害の基礎知識と、訪問鍼灸による在宅でのアプローチ方法について、 現場での実例を交えながらご紹介します。
嚥下障害とは?
嚥下障害とは、「飲み込む」動作に何らかの障害がある状態を指します。
主な原因
- 脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患
- 筋力低下や加齢性変化
- 長期臥床や寝たきりによる廃用性変化
- 頸部・喉の手術後や放射線治療後
症状の例
- 食事中にむせる、咳き込む
- 飲み込みに時間がかかる、喉に残る感じがする
- 声がガラガラになる
- 食欲があっても食事が進まない
- 体重減少、脱水、肺炎のリスク
鍼灸による嚥下障害へのアプローチ
1. 頸部〜胸鎖乳突筋・舌骨周囲の緊張緩和
喉まわりの筋肉が過緊張を起こしている場合、 鍼灸によって局所の血流改善や筋肉の過緊張を緩和することが期待されます。
2. 自律神経の調整で嚥下反応の促進
緊張・不安・ストレスが交感神経を優位にし、嚥下反応が遅れやすくなります。 鍼灸では副交感神経を高め、リラックスした状態での嚥下反射を促すことが可能です。
3. 呼吸・姿勢・全身状態への包括的ケア
飲み込む動作は「姿勢」「呼吸」「集中力」なども関与します。 背中や腹部、手足の筋肉を整え、嚥下のしやすい全身状態づくりをサポートします。
訪問鍼灸でできること
- 食事のタイミングや前後の状態を見ながら施術ができる
- ベッド上や車椅子でも無理なく施術可能
- ご家族や訪問看護師との連携で、嚥下訓練・栄養管理と並行した対応が可能
実際の症例紹介
症例:80代女性(脳出血後遺症・要介護4)
- 症状:食事中のむせ、発語時の声枯れ、寝たきりによる頸部緊張
- 対応:週2回の訪問施術。頸部・胸鎖乳突筋・背部の緊張を調整し、食事前の施術を導入。
- 結果:「食事がスムーズになった」「むせが減った」とご家族からの報告あり。
ご相談はこちら|訪問鍼灸十番堂の取り組み
訪問鍼灸十番堂では、 嚥下障害や神経疾患に対する専門的な在宅ケアを行っています。
- 国家資格者による施術
- 医師の同意書による保険対応
- ご家族・他職種との連携重視
- 港区・目黒区・渋谷区・品川区などを中心に対応
まとめ|飲むこと・食べることを、もう一度やさしく
嚥下障害は、命や生活の質に直結する深刻な問題です。
しかし、薬や訓練だけでなく、やさしく身体に働きかける鍼灸もまた、 大切な支えになり得ます。
「もう一度、安心して食べてもらいたい」「むせの負担を減らしたい」 そんな思いに寄り添いながら、在宅でできるケアをお手伝いします。