脳性小児麻痺と鍼灸治療|東洋医学ができることとは?
脳性小児麻痺(脳性麻痺)は、出生前後の脳の非進行性病変によって起こる運動や姿勢の障害です。
医療やリハビリテーションの現場では、理学療法や作業療法が一般的に用いられますが、東洋医学の考えに基づいた鍼灸治療も有効です。
「鍼(はり)って痛そうだけど、子どもにできるの?」
「本当に効果があるの?」
「どうやって選べばいいの?」
そんな疑問を持つご家族に向けて、この記事では鍼灸とは何か、脳性小児麻痺の子どもにどのような効果が期待できるのかをわかりやすく解説していきます。
脳性小児麻痺とは?原因と症状をやさしく解説
脳性小児麻痺(cerebral palsy)とは、胎児期から新生児(生後4週以内)にかけての脳の発達過程で何らかの障害が生じた結果、運動機能や姿勢の調節に困難が生じる状態を指します。
日本では「脳性麻痺」という名称で知られており、生まれつき、または出生後間もなく発症するケースがほとんどで、症状は満2歳までに発現します。
脳性麻痺の主な原因と種類
脳性麻痺の原因には、以下のようなものがあります。
- 妊娠中の脳の発達異常
- 分娩時の低酸素状態や出血
- 早産や低出生体重
- 出生後の重度な感染症や外傷
このような原因によって脳の運動を司る部分に障害が起きると、体の動かし方に影響が出ます。
また、症状のタイプによって以下のような分類があります。
種類 | 特徴 |
痙直型 | 筋肉がつっぱるように硬くなり、動かしにくい |
アテトーゼ型 | 手足が自分の意思とは無関係に動いてしまう |
失調型 | バランスが取りづらく、歩行や姿勢保持が難しい |
混合型 | 上記の特徴が複数混在する |
症状の多様性と生活への影響
脳性麻痺の重症度はお子さんによって大きく異なります。
- 軽度であれば、少しの筋緊張やバランスの問題だけで日常生活を送れる子もいます。
- 一方で、重度の場合は立ち上がり・歩行・会話などにも支援が必要になることがあります。
また、筋肉や関節の問題以外にも、以下のような課題を伴うことがあります:
- 睡眠が不安定
- 便秘
- よだれが多い
- 感覚過敏
- 不安や緊張が強い
このような背景から、医療的・リハビリ的アプローチだけでなく、東洋医学的なケアを取り入れるご家庭も増えています。
鍼灸とは?小児でも受けられるの?
「鍼灸」とは、鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて身体のツボを刺激する東洋医学的な施術法です。
中国から伝わり、日本でも古くから用いられてきた伝統医療のひとつで、WHO(世界保健機関)から効果が認められています。
小児鍼とは?普通の鍼とどう違うの?
「えっ、子どもに鍼を刺すの?」と驚かれることもありますが、実際には「刺さない鍼」が主に使われます。


- 小児鍼(しょうにしん)とは、皮膚を軽く撫でたり、トントンとリズムよく刺激したりする優しい施術です。
- 使う道具も丸みのあるものが多く、痛みはほとんどありません。
- 対象年齢は生後数か月から思春期までと幅広く、個々の症状や状態に合わせて調整しながら治療します。
小児鍼は、夜泣き・癇癪(かんしゃく)・便秘・アトピー・チック症などの小児症状にも広く応用されており、精神を安定させ、自律神経を調整する効果が期待できます。
脳性小児麻痺に鍼灸がどう作用するのか
鍼灸治療は、脳性小児麻痺による様々な症状に対して、心身全体のバランスを整えるアプローチとして活用されています。
特に、西洋医学的なリハビリでは対応しきれない部分にアプローチできるのが特徴です。
筋緊張やけいれんに対するアプローチ
脳性麻痺の多くの方にみられる症状として、「筋緊張の亢進」や「けいれん」があります。
当院の鍼灸治療では、五臓六腑、十二臓腑経絡のバランスを調整した結果、
- 筋肉が弛緩する
- 緊張が強い部位の血流が改善する
- 神経の興奮状態を落ち着く
といった効果が期待されます。
実際の臨床現場では、治療後に
「手足が動かしやすくなった」
「表情がやわらいだ」
といった反応が見られることもあります。
自律神経や睡眠への影響
脳性麻痺のお子さんの中には、睡眠障害や情緒の不安定さを抱えるケースも多くあります。
鍼灸はこうした自律神経系へのアプローチも可能です。
東洋医学的に診立てて、全身を調整した結果、
- 副交感神経が優位になり、リラックス状態に導かれる
- 寝つきが良くなったり、夜中に起きにくくなることがある
- イライラや不安感の軽減につながる
これらの効果は、ご家族の負担軽減にもつながるため、トータルケアの一環として取り入れられています。
実際の臨床例
【症例】
8歳 男児
健康に問題なく出生したが、1歳の時に風邪をひいてから脳炎となる。
以降、小児麻痺、自閉症、発達障害と診断される。
下肢の筋緊張が強く、歩行時に転倒する事が多々ある。
てんかんが毎日数回出現し、原因不明の突発的な発熱、睡眠障害なども併発。
【治療】
週3~4回、2年以上継続的に治療
下肢の緊張が低下し、歩行がスムーズになり、転倒することが減った。
てんかんの頻度や大きさが改善し、毎晩出ていたてんかん発作が出ない日もある。
大きな発作で呼吸が止まることもなくなり、出ても5秒以下、または、一瞬出るくらいまで改善。
てんかんの薬の量も減っている。
入眠時にてんかんや癇癪が起こることが多かったが、落ち着いて寝れるようになった。
十番堂の訪問鍼灸治療
1、小児麻痺などの脳神経系疾患の治療経験が豊富

小児麻痺だけでなく、脳卒中による麻痺、パーキンソン病、てんかんなどの脳神経系疾患、難病の治療経験は数多くあります。
訪問診療の経験としては、述べ1万件以上の実績があります。
2、東洋医学的な鍼灸治療

東洋医学の考え方で治療を行い、五臓六腑、十二経絡を調整することで、 小児麻痺に伴う全身症状に対してもアプローチできます。
3、健康保険、〇障が適用

医師の同意があれば、健康保険を用いて治療を受けることができます。
多系統萎縮症によって働けなくなってしまい経済的に余裕がない方でも、健康保険や心身障害者医療助成制度(〇障)が使えるため、治療費の負担が少なく、長く治療を続けられます。
心身障害者医療助成制度(〇障)についてはこちらをご覧ください
4、初回無料体験実施

初回は無料で治療を体験することが可能です。
問診に1時間程頂き、小児麻痺の経過や、これまでの病気や体質などを考慮しながら治療していきます。
初回1度の治療で変化を感じることは難しいですが、雰囲気を感じて頂き一緒に治療を進めていけるかどうかご検討を頂ければと存じます。
医師の同意書や、お手続き方法についても初回時に詳しくご説明致します。
5、訪問診療

お子様を連れて、治療やリハビリのために外に出るのは不安があり一苦労だと思います。
訪問鍼灸十番堂は、国家資格を持った治療家がご自宅へ往診するので、快適なご自宅で治療を受けることができます。
まとめ|鍼灸は脳性小児麻痺のお子さんとご家族をやさしく支える手段のひとつ
脳性小児麻痺に対する鍼灸は、筋肉の緊張を和らげたり、睡眠や情緒を整えたりと、お子さんの生活の質を高めるサポートとなります。。
特に小児鍼は、やさしい刺激で痛みもほとんどなく、安心して受けられる東洋医学のアプローチです。
医療やリハビリと並行して、心身を整える手段のひとつとして、鍼灸を取り入れてみることで、お子さんの笑顔やご家族の安心感につながるかもしれません。
「うちの子にもできるかな?」「まずは相談だけでもしてみたい」という方は、どうぞお気軽にご連絡ください。
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