はじめに

「足首が上がりにくい」「つまずきやすい」「ふくらはぎが細くなってきた」
このような症状で診断されることの多いシャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease:CMT)は、進行性の末梢神経疾患です。

難病指定されている疾患であり、進行はゆっくりですが、長期的な身体機能の低下により通院が困難になるケースが少なくありません。

そのため、在宅での継続的なケアの重要性が高い疾患の一つです。

本記事では、

  • シャルコー・マリー・トゥース病の基礎知識
  • 症状の進行と生活への影響
  • 西洋医学的治療の現状
  • 東洋医学的視点からの考え方
  • 訪問鍼灸でできること

を整理します。


シャルコー・マリー・トゥース病とは

シャルコー・マリー・トゥース病は、末梢神経(手足の神経)に障害が起こる遺伝性疾患です。

主な症状

  • 足関節背屈障害(足が上がらない)
  • 下腿の筋萎縮(逆シャンパンボトル様)
  • 鶏歩(steppage gait)
  • 手の巧緻運動低下
  • 感覚鈍麻
  • しびれ

特徴

  • ゆっくり進行する
  • 若年発症もある
  • 完治する治療法は現時点で存在しない

症状は軽度から始まり、徐々に歩行障害へと進行します。


西洋医学での治療と課題

現在の標準治療は

  • リハビリテーション
  • 装具療法(短下肢装具など)
  • 理学療法
  • 痛みに対する薬物療法

が中心です。

しかし、

  • 筋疲労が強い
  • しびれや痛みが残る
  • 進行に対する不安
  • 通院が負担になる

といった課題を抱える方も多くいらっしゃいます。

ここに在宅ケアの意義があります。


東洋医学的にみたシャルコー・マリー・トゥース病

東洋医学では、シャルコー・マリー・トゥース病のように

「肢体の筋肉が弛緩・弱化し、病の進行とともに萎縮する病証」を痿証(いしょう)といいます。

現代中医学的には、

「脾胃虚弱を基盤とし、肝腎不足を伴い、気血が四肢を養えない状態」

として捉えることが可能です。

ただし、証は固定的ではなく、

  • 脾気虚主体
  • 肝腎不足主体
  • 気血両虚主体

など、個人差があります。

そのため、各々の体質に基づいた治療方針が重要になります。

痿証の主な病機を以下のように整理します。

① 脾胃虚弱(気血生化不足)

脾胃は「後天の本」と呼ばれ、気血を生成する中心的な臓腑です。
脾胃の機能が低下すると、筋肉へ十分な栄養が供給されず、筋力低下や易疲労が生じます。

② 肝腎不足(筋骨の失養)

  • 肝は「筋を主る」
  • 腎は「骨を主り、精を蔵す」

とされます。

長期経過の中で肝血や腎精が不足すると、筋肉の弾力や持久力が低下し、萎縮が進みやすくなります。

進行性の神経筋疾患では、肝腎不足が関与することが少なくありません。

③ 気血両虚・経絡失養

末梢優位に症状が出る場合、
気血が四肢末端まで十分に巡らない「経絡失養」の状態が背景にあると考えます。

シャルコー・マリー・トゥース病のように、
下肢遠位から筋萎縮が進行する特徴は、この考えが当てはまります。


■ 鍼灸で目指す方向性

シャルコー・マリー・トゥース病に対しては、

  • 健脾益気(気血生成機能の補助)
  • 補肝腎(筋骨の滋養)
  • 必要に応じて活血通絡(末梢循環の促進)

を基本方針とします。

これは「弱っている部分だけを刺激する」のではなく、
全身の気血生成と運行を整え、筋肉や末梢組織が養われやすい状態をつくることを目的としています。

その結果として期待できるのは、

  • 筋緊張の過不足の調整
  • 末梢循環の改善
  • 慢性的な疲労感の軽減
  • しびれや違和感の緩和
  • 痛みのコントロール
  • 自律神経の安定

といった身体機能のサポートです。

重要なのは、
疾患そのものを根治させることを目的とするのではなく、

進行性疾患と向き合いながら、生活の質(QOL)をいかに維持・向上させるか

という視点です。

慢性神経疾患では、症状の完全消失を目標にするよりも、
「歩きやすさ」「疲れにくさ」「生活動作の安定」といった
日常生活の実感を積み重ねていくことが現実的かつ重要になります。

当院では、その方の体力・進行段階・生活環境を踏まえ、
無理のない施術計画を立て、体調の安定を目標とします。


訪問鍼灸という選択

シャルコー・マリー・トゥース病の方は、

  • 長距離移動が困難
  • 転倒リスク
  • 階段がつらい
  • 外出疲労が強い

というケースが多く見られます。

訪問鍼灸であれば、

  • ご自宅で施術可能
  • 体調に合わせた頻度調整
  • ご家族と共有しながらケア計画立案
  • 医療保険対応可能(条件あり)

といったメリットがあります。


当院の方針

  • 初回は十分な問診
  • 西洋医学情報を把握
  • 東洋医学的評価
  • 現実的な目標設定
  • 無理な頻度提案はしない

進行性疾患だからこそ、
長期的に伴走する姿勢を大切にしています。


このような方はご相談ください

  • 最近つまずきが増えた
  • 装具だけでは疲労が強い
  • しびれがつらい
  • 通院が困難
  • 家族としてできるケアを知りたい

まとめ

シャルコー・マリー・トゥース病は、
完治を目指す疾患ではなく、どう生活の質を守るかが重要な疾患です。

在宅での継続ケアは、その一つの選択肢です。


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