進行性核上性麻痺(PSP:Progressive Supranuclear Palsy)は、主に中高年以降に発症するまれな神経変性疾患で、 脳幹を中心とした神経細胞の変性により、眼球運動障害・バランス障害・筋緊張・構音障害などを引き起こします。
パーキンソン病と似た症状がみられますが、進行が比較的速く、薬が効きにくいことが多いのが特徴です。
この記事では、進行性核上性麻痺の基礎知識と、訪問鍼灸によるサポートの可能性について解説します。
PSPの主な症状
- 眼球運動障害(特に下方向):うつむく・本を読むなどの視線操作が困難になる
- バランス障害・転倒:初期から後ろ向きの転倒が頻発する
- 筋緊張と姿勢異常:体幹の固さ、頸部後屈などの姿勢変化
- 構音障害・嚥下障害:ろれつが回らない、飲み込みがしづらい
- 認知機能低下や感情制御の困難:前頭葉の機能に関連
これらの症状により、歩行や会話、食事などの日常動作が急速に困難になることがあります。
診断と治療の現状
PSPはMRIなどの画像検査で脳幹の萎縮が確認されることがあり、 臨床的な経過や症状の特徴をもとに診断されます。
パーキンソン病に用いられるL-ドパなどの薬は効果が薄く、 薬物治療だけで進行を止めたり、大きく改善することは困難とされています。
そのため、リハビリ・介護・補完療法を含めた生活支援の充実が重要です。
訪問鍼灸でできるサポート
1. 筋緊張や拘縮への対応
筋肉の緊張や関節の固さにより、介助や移動が困難になります。
鍼灸やマッサージで全身の緊張を緩めることで、介護時の負担軽減や移乗動作の安定化が期待できます。
2. 呼吸や嚥下機能への間接的サポート
頸部・胸郭まわりの緊張緩和によって、呼吸の深さや飲み込み動作の安定をサポートする症例もあります。
3. 自律神経や睡眠へのアプローチ
便秘・不眠・血圧変動など、自律神経に関連する症状に対し、ツボ刺激を通じた全身調整が役立つことがあります。
4. ご本人とご家族の精神的サポート
進行が早いため、ご本人・ご家族ともに不安を抱えやすい疾患です。
定期的な訪問ケアによって、安心できる時間と信頼関係を築くことができます。
訪問鍼灸のメリット
- 寝たきり・通院困難でも自宅で専門ケアが受けられる
- 施術はベッド・車椅子上で無理なく可能
- 医師の同意書があれば保険適用も可能(東京都医療助成制度も併用可)
- 港区・渋谷区・目黒区など都内対応
継続的な関わりで日常を支える
進行性核上性麻痺は症状が日々変化しやすいため、施術者が定期的に訪問すること自体が安心材料となります。
身体の変化に早く気づけるほか、ご本人やご家族がちょっとした不調や不安を相談できる「見守り的な役割」も果たします。
医療・介護サービスとの橋渡しにも
訪問鍼灸師は、施術だけでなく、状態の記録や主治医・ケアマネとの連携などを通じて、 医療・介護の情報共有や補完的な支援にもつながる存在です。
鍼灸だからこそできる身体の“感覚的な変化”への気づきが、チーム支援の質を高めることもあります。
まとめ|「治す」ではなく「支える」鍼灸ケア
進行性核上性麻痺は、現時点では根本的な治療法がなく、進行も速い難病の一つです。
しかし、「治らないから何もしない」のではなく、 今できること、できるだけ快適に過ごせる方法を選ぶことが大切です。
訪問鍼灸は、そうした日々のケアのひとつとして、 ご本人の身体と心、ご家族の介護負担の軽減にもつながります。
「できることを少しでも増やしたい」「家族として何か支えになりたい」 そんな思いをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。